電子取引データの保存の実務②
~自社の電子取引を把握する~(全3回)


たとえば、電子メールに添付された請求書等をはじめ、ネット通販サイトからダウンロードした領収書等、クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ、ペーパレス機能のあるファクス複合機での取引情報の受信などは、電子取引に関する情報(電子取引データ)になります。これらの電子取引データは、令和6年1月1日から、電子帳簿保存法上、紙による保存ではなく、電子取引データでの保存が義務化されます。
電子取引データの保存への対応の第一歩は、取引状況の実態把握です。まずは、経理部門をはじめとする全部門、全役員・従業員を対象にすべての取引を洗い出します。税法上保存すべき紙の書類と電子取引データについて、取引先、種類(請求書、領収書など)、受取・保管部門、受取方法、枚数などをリストアップすることから始めましょう。



逆風下での黒字化のヒントを考える

日本電産の創業者・永守重信氏は、①井戸掘り経営、②家計簿経営、③千切り経営という3つの経営手法を駆使して、何度も危機を乗り越え、会社を成長させたと言います。
①井戸掘り経営は、井戸水を汲むように、考えれば考えるほど知恵やアイデアは湧いてくるという考え方、②家計簿経営は、小さな節約を積み重ねてやり繰りする家計にならって、会社も支出の一つひとつを見直して、経営改善を図るという考え方、③千切り経営は、大きな課題や難しい課題は、いくつもの小さな課題に分解すれば、解決策が見つかるという考え方です。
このような経営手法を参考に、社長と従業員が一緒に考える機会をつくり、黒字化に向けて頑張りましょう。



役員と会社の取引①~見落としがちな役員給与の注意点~

役員給与は、会社法上、株主総会において総額を決議し、各役員の給与額は、取締役会や取締役間の協議等で決定します。
実際の支給にあたっては、1か月以下の一定期間ごとに同額で支給する定期同額給与であれば、全額損金算入が認められます。ただし、期首から3か月以内の改定など一定の場合を除いて、原則として、事業年度の途中での支給額改定は認められません。
役員賞与を支給したいときは、予め支給時期や支給額を決め、所定の期日までに税務署へ事前確定届出給与として届け出て、届出どおりに支給すれば損金算入が認められます。
オーナー企業の場合、経営者自らが自身の役員給与を決めることになりがちです。自分の会社という意識から主観的に決めるのではなく、前年実績、当期の利益計画や業績見込みなどを基礎に、経営の現状と1年以内に返済する借入元本額を含めたキャッシュ・フローを確認して、よく検討した上で給与額を決定しましょう。

(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「・・・ニュース」を送らせていただきます)